向いているor向いていない?探偵に必要な能力
長年、探偵として働いていると、こんな人は探偵に向いているなあ、こういう人は探偵にはちょっとなあ、とその人が探偵かどうかに限らず考えてしまうことがあります。
世の中のどんな職業についても必要な能力、もしくは向いている能力はあるだろう、という気がするので、探偵に特に必要ではないかということをピックアップしてみました。
探偵という職業に興味がある方や相談者として探偵事務所を訪れた際にもちょっとした参考になるかもしれません。
独断と偏見もあるかもしれませんが、下記のようになります。
探偵に向いている
調査員編
印象に残りにくい、存在感が薄い
世の中ではだいたい不利になる「印象に残らない」「存在感がない」という要素。
これが実は尾行・張り込みする上ではかなり大きな武器になります。
このことを考えると「調査員って本当に日陰の、裏の仕事だなあ」と思ってしまうんですが・・・。
それで「存在感がない・印象に残らない」って、実際に尾行する時は対象者に気づかれないような努力や手法を用いているので、意識してしようとしてもできているかどうかわからないんですよね。
でもたぶん自然とこれが出来ている人はいるんですよ。
学生の時にいつも存在を忘れられていたような人にはもしかしたら天性の才能があるかもしれません。
視力が良い、視野が広い、記憶力が良い
これらは主に調査対象者や現場状況の確認・把握をする上で有利になります。
そもそも最初の張り込みでは対象者の面取り(本人特定)をしなければならないので、視力が良く視野が広ければ、張り込みしても遠くから早い段階で対象者に気づけますし、対象者の顔や特徴を頭の中で早く正確に記憶できる人は尾行現場での立ち回りで有利に動けます。
車やバイクの運転が得意、地理に詳しい
対象者が車やバイク、タクシー、バスなどで移動する場合は、尾行する調査員も車やバイクを使うことが多いです。
車やバイクを運転しながらバレないように尾行するというのは、簡単なように思えて実は難しく、かなり危険な行為でもあります。
運転になれてない人がやると事故を起こす可能性が高くなります。事故は起こしてからでは遅いです。
観察力がある、物に詳しい
調査現場の細かい変化に気づけたり、対象者の身なりや持ち物から行動傾向を推測するには鋭い観察力や物の知識が必要とされます。
連日対象者宅を張り込みする際の小さな変化や対象者の購入物などを観察するのは調査を上手く進める上でのヒントとなることも多いです。
集中力がある
実際にやってみるとわかるんですが、仕事で尾行と張り込みを行うのはかなりきつい作業です。
暑い時も寒い時も、雨の時も空腹時でも長時間でもやらなければならない時があります。
そんな中で尾行対象者を見失う、見逃す、対象者や関係者にバレる、周辺住民に怪しまれるなどの失敗リスクが常にあります。
肝心な時に高い集中力を保てるかどうかというのは調査員の資質にかかわることでしょうね。
相談員編
誠実に見える
正直言いまして、探偵業というのは少々うさんくさい業種だと現在の世間からは見られていると思います。
相談者の方からすれば、信頼できそうな誠実に見える人に相談に乗ってもらいたいのではないでしょうか。
心構えや努力である程度は克服できそうですが、もともとどうしようもなくいかつい風貌の人などは不利になってしまうでしょう。
コミュニケーションが得意
特に初めて探偵に相談する方には、何から話していいのかわからない、という方がたくさんいます。
そこで調査プランを提案したり、実際に調査を進めていく上で相談者の方から必要な事をきちんと聞き取れる能力が必要となります。
依頼者との話し合いが不十分なまま契約して調査を進めていくのは後々のトラブルの元にもなります。
法律やトラブルなどその他広範な知識がある
依頼者が探偵に相談に来るのは調査を依頼するためですが、根本には何らかのトラブルがあるケースがほとんどです。
調査プランを提案する上では、そのトラブルの解決方法や法的根拠を具体的に提示できた方が良いでしょう。
そうすれば依頼者も納得した上での依頼となるものです。
なぜその調査が必要なのか疑問を持たれたままだと後々のトラブルの元となります。
契約事務が得意
探偵の調査も契約の一種です。
大抵の場合、相談担当の人間が契約事務も兼ねています。
いざ契約の際に依頼者に不安を持たれていたり、契約書がいい加減だと後々のトラブルにもつながりますし、せっかく依頼してもらえるなら気持ちよく依頼してもらったほうが良いので、そのためにも手際よくきっちりと契約事務をこなせる必要があります。
特に探偵業法ができてからは「契約書の交付」「重要事項説明」「調査結果を犯罪に用いない誓約書」は必須となっています。
調査現場の経験がある
調査プランを考える上では現場経験の有無は非常に重要です。
探偵の依頼は浮気調査など大きなくくりは一緒でも、対象者や現場や移動手段などの違いがあり、依頼者のケースごとの調査があります。
つまり、全く同じ状況での調査というのは基本的にないのです。
例えば「この間の案件では上手く尾行できた」からといって毎回同じような思考をしていると、せっかく依頼者に依頼してもらっても失敗につながってしまいます。
なので、依頼者の話を聞いてケースごとに「自分ならこうやれば上手くできる」「これは上手く行かない」という視点が必要と言えます。
業界には現場経験もなく、依頼を取るだけ取ってあとは現場に丸投げのケースや、現実的に無理な方法で依頼を取って後にトラブルとなるようなことをしてしまう相談員がいるので注意が必要です。
探偵に向いていない
調査員編
目立ちたがり屋、風貌の特徴がありすぎる
目立つということは世の中では有利に働くことが多いですが、尾行現場においてはタブーと言っても過言ではありません。
経験がない方には想像しにくいかもしれませんが、尾行・張り込み時には想定外に何度も接近しなければならないことがあったりするのです。
なので対象者に無意識にでも風貌を記憶されてしまうと、いつ尾行がバレてもおかしくない状況になってしまいます。
目が悪く普段から眼鏡着用、人の名前や顔を覚えるのが苦手
目が悪いのは対象者の顔確認や現場状況の把握に不利となりますが、コンタクトレンズ着用で多少は克服することもできます。
しかし眼鏡を着用している場合は横の視野がかなり狭くなるので、尾行時にはかなりの不利となりますし、ちょっとした変装の眼鏡着脱も目が悪いために危険となります。
また、対象者の顔や風貌を素早く記憶するのは現場での肝なので、どうしても覚えられないという方は向いていないと言えるでしょう。
車やバイクの運転ができない、方向音痴
対象者が車やバイクなどを運転することは少なくないので、自分が運転できないとまず尾行することができなくなってしまいます。
他にも張り込みには車が有効、頻繁にタクシーを使う対象者にはバイク尾行が有効だったりするので、運転ができないのは調査現場でかなりの不利になることが多いです。
さらに方向音痴な人は尾行現場でのさまざまな対応が遅くなってしまう傾向があります。
人にも物にも興味がない、マイペース
他人のことはどうでもいい、自分のことにしか興味がないという方は、探偵に必要な観察力が磨かれていない可能性があります。
つまり、観察してもそれに何の意味があるのかを理解したり、行動を予測したりする能力が足りない可能性があります。
対象者の持ち物から性格や行動傾向を推測することも調査を進める上でのヒントとなるので、できるだけ世の中の物にも興味を持った方が良いのです。
また、実際の尾行では対象者のペースに自分を合わせなければならないことが多いので、マイペースでないと我慢できない方は精神衛生上よろしくないでしょう。
集中力がない、落ち着きがない
現場では何時間も張り込みや尾行をしなければならないことがあります。
しかし、ちょっとした油断で対象者を見逃したり見失ったりします。
集中が必要な時はちゃんと集中し続けなければならないのです。
また、落ち着きがない動きをしていると現場で目立ってしまい、周辺住民などに怪しまれて通報される機会も多くなってしまいます。
相談員編
風貌がいかつい、うさんくさい、怪しい
ただでさえうさんくさいと思われがちな探偵に、実際に相談してみたら本当にうさんくさい人が来たらどう思いますか?
依頼するのはやめておこう、と思うのが普通ですよね。
うさんくさいなんて思われたら相談員としては失格です。
探偵は他にもいるのですから、わざわざ不安になるようなところに依頼する人はいないと考えられます。
このあたりのことはある程度努力で改善できるとは思いますが・・・。
コミュニケーションが苦手
相談担当者は相談者から話を聞かなければならないので、人とのコミュニケーションが苦手すぎる人は全く向いていません。
但し、慣れたり経験や知識を積み重ねることによってある程度は克服できるものではあります。
インターネットやスマホなどに疎い
最近はLINEなどのSNSやアプリを使った浮気・トラブルも増えており、ネットだけでなくスマホアプリも世の中の流れの中心の一つと言えます。
自身が疎すぎると相談者の話についていけなくなり、信頼もしてもらえなくなってしまいます。
契約事務や書類関係が苦手
探偵の調査は「サービス業」なのできちんと契約する必要が双方にあります。
特に探偵業法ができてからはトラブルが起こらないよう契約事務や重要事項説明について厳しくなっているので、口約束だけで請け負うような形に慣れていると余計なトラブルの元となります。
調査現場の経験がない
調査現場の経験がないと相談者からの情報を元に適切な提案やプランを組むことができず、最終的に現場に丸投げしてしまうことになります。
また成功と失敗のラインを瞬時に想定できないため、自分の思い込みに従って現場を進めてしまい、後々にトラブルの元となる可能性があります。