探偵・興信所のアルバイトの意味するもの
探偵・興信所のアルバイトとは?
「探偵のアルバイト」「興信所のアルバイト」というものが存在しているようです。
この業界で決して短くはない業務実績を重ねてきましたが、アルバイトを雇うケースというのが身の回りではありませんでしたし、それほど想像することができません。
探偵志望者の募集をかけておき雇う上で見習いの段階を立場上アルバイトと呼んだり、経験のない人間がどれだけやれるか未知数なため最初はアルバイトと位置づけし後に正式な調査員に昇格させる、というようなケースならまだ考えることはできます。
しかし「純粋にアルバイトを雇う」とは一体どういうことなのでしょうか。
これは探偵業に限ったことではないのかもしれませんが、探偵の調査にかかるお金は一般的に決して安いものとは言えません。
プロの人間が仕事を行う、つまりプロの探偵が調査を行うからこそ顧客となる依頼者が納得し、かろうじてこのような値段が成り立つのだと思っています。
探偵個々人や探偵事務所・興信所に能力や技術の差があるのは事実でしょう。ただ、プロの探偵を定義づけるならば「本職として探偵をしていること」が最低限のラインなのではないでしょうか。
実際、調査の現場に経験のない人物が出ても、ほとんど役には立てないであろうと私は思います。もし上手くいったのであればそれはただ運が良かっただけで、たいていの場合、何らかの失敗があるはずです。
失敗が起こらないように無事に仕事を終わらせるということは、探偵を何年経験しても決して楽なことではありません。場合によっては依頼者とのトラブルに発展するケースもありますし、下手をうって警察の厄介になるようなケースさえあります。
依頼者との面談や調査現場を始めとした探偵の仕事は傍から見えるよりも責任の重い仕事であり、バイトの立場でこなせるほど甘くはないのです。
探偵はバイト感覚ではできない
また、バイトという意識で続けられる仕事でもないと思います。
何時から何時までというシフトがあるわけではなく、依頼者の要望によってはかなり長時間のきつい労働となる場合もあります。
ですので、アルバイトを募集している探偵事務所や興信所の考えていることが理解できませんし、共感もできません。
思うに、アルバイトのできることは見習いのようにプロの探偵に同行して仕事を覚えていくこと、逆に足手まといにならないようにすること等に限られるはずです。
しかし、今後正式な調査員として育成する気がない、もしくは本人にその気がないのであれば、プロの探偵に同行させること自体が無意味に近くアルバイト代という人件費ばかりがかかってしまうことになります。
人手が足りないということであれば、この業界には経験を積んだフリーの調査員という存在がありますので、彼らを一時的に雇えば済むことなのです。
まさかプロの探偵の役割そのものをアルバイトに任せていることはない、と思いたいですが…。
繰り返しのようになりますが、依頼者が高いお金を払う理由の一つは「プロによる仕事」を期待しているからです。依頼者一人一人がそれぞれ異なる問題を抱えており、ケースバイケースあるいはオーダーメイドのような仕事が求められます。
探偵事務所・興信所はマニュアルに沿ったメニューを出す全国展開のチェーン店のように営業することはできないのです。
申し訳ありませんが、そこにアルバイトの立場の方が参加する余地はない、というのが私の考えです。