トラブルを避けるための探偵調査料金費用・経費の解説、解約について
探偵料金の仕組みを知る
探偵と依頼者の間でおけるトラブルの中でもっとも多いのはおそらく「料金・費用に関するトラブル」だと思います。
探偵に調査を依頼したときの「基本料金って何?」「経費って何?」と疑問をお持ちになられる方も多いのではないでしょうか。
料金トラブルを避けるためには、ご相談される方が探偵との契約における料金や経費の仕組みについて事前に知識を得ておいたほうが宜しいかと思いますので、下記に説明を記載してみました。
(1)支払い方法
探偵の料金支払い方法には主に「前払い制」と「後払い制」の2つがあります。
①料金前払い制
料金前払い制では、調査を行う前に料金を支払います。
依頼者の中には依頼しておいて探偵が調査に着手した後に急に依頼をキャンセルしたり、調査結果だけ先に知って支払いを逃れようとしたり連絡を取れなくする悪質な依頼者がいないわけではありません。
そういった防御策の一つが「前払い制」となりますが、逆に依頼者に先に料金だけ支払わせて調査を実施しないなどの詐欺や詐欺まがいの行為を行う悪質な探偵もいます。
ちなみに前払い制は基本的に以下の2種類に分類できます。
A.完全前払い制
完全前払い制は、契約した調査料金全額を事前に支払うシステムです。
B.着手金前払い制
着手金前払い制は、調査料金の一部(半額など)を事前に支払うシステムです。
しかし、着手金だけを依頼者から詐取する詐欺もありますので、前払い制に関しては探偵側が起こすトラブルが多いでしょう。
②料金後払い制
料金後払い制は、調査が完了した後に料金を支払います。
依頼者にとっては安心できるシステムですが、上述のように調査を依頼しておいて料金を支払おうとしない悪質な依頼者がいないわけではないため、探偵サイドにとってはややリスクのあるシステムとなります。
後払い制も以下の2つに分類できるかと思います。
A.完全後払い制
探偵が調査を実施し完了させたのちに料金を支払います。
調査報告書や調査結果は料金の支払いと同時に行われるのが通常です。
B.成功報酬制
成功報酬制はやや特殊であり、事前に取り決めた調査成功条件を探偵サイドが満たした場合(探している人物を見つけた時など)のみ、料金を支払います。
(2)料金制
探偵の浮気調査(尾行調査)料金には主に以下の4つの料金制があります。
- 時間料金制
- 定額料金制
- パック料金制
- 成功報酬制
料金制の前にまず「基本料金」について説明します。
基本料金
基本料金とは、調査を行う時間に関係なく、その日の調査で基本的にかかる料金(報告書作成料・機材費等)のことです。
例えば基本料金10,000円、時間料金制で5時間の調査を行った場合、1日の料金は以下のようになります。
「基本料金10,000円」+「時間料金5時間分」
この基本料金の相場はだいたい一日10,000円程度で、基本料金があるところとないところがあります。中にはこの基本料金を高額に設定しているケースもあるので事前にチェックしてください。
(例)「基本料金100,000円~」など。
この場合は浮気調査を依頼すると最低100,000円(数時間分の調査料金を含む)からですよ、という意味となることが多いです。
時間料金制
時間料金制とは、尾行時間料金を1時間単位で計算する料金制です。
調査員1名/1時間で料金が決められており、尾行・張り込みを依頼した時間分の料金が調査料金となります。
もっとも一般的で「他の調査料金制の基準となる料金制」でもあります。※なぜ基準となるかはこの料金をもとに他の料金制では割引をおこなうからです。
定額料金制
定額料金制とは「8時間」など決まった時間をまとめて契約する料金制です。
まとめて契約しているため、1時間単位料金が多少割り引かれているのが通常です。
但し、定額で契約した場合は、例えば8時間定額だと8時間以下で調査を終わらせても8時間分の料金となります。
パック料金制
パック料金とは30時間などをまとめて契約すれば1時間単位料金が割り引かれるという契約です。
30時間パックの中から今日は5時間、明日は6時間のように、パック契約した時間内の範囲で自分で決めて調査を行うことができます。
成功報酬制
成功報酬制とは、一定の条件を成功条件としてそれを達成できた場合に報酬が発生する料金制度となります。
例えば、浮気調査では浮気の証拠が取れたら成功報酬料金が発生し、逆に調査で証拠が取れなかった場合は費用は一切かからず0円となります。
成功報酬制には以下の2種類があります。
A.成功報酬制(着手金+成功報酬)
成功報酬とは別に着手金がかかるシステムで成功条件を達成したかどうかにかかわらず着手金の支払いは必要となります。
所在調査(行方調査)等に多い料金制です。
B.完全成功報酬制(成功報酬のみ)
完全成功報酬制は成功条件を達成した時のみに成功報酬として費用を支払うシステムです。
「浮気の証拠が取れたら0円」等は一般的にはこちらに該当します。
(3)経費
依頼者にとってわかりにくいもののひとつが経費ではないでしょうか。
経費の詳細は探偵事務所によって異なりますが、共通しているのは尾行中に発生した調査員の交通費が含まれることでしょう。
その他、車両使用料、車両燃料費、高速道路利用料、宿泊費、施設利用料、報告書作成費、機材費等が経費に含まれる場合があります。
- 調査を行った後に交通費等の実費を支払う
- 最初に経費込みの調査料金を提示する
以前は主にこの2種類の支払い方法が用いられていましたが、悪質な探偵業者によって、①の方法においては経費の水増し、②の方法においては経費分のぼったくりが行われていたようです。
現在では探偵業法が出来たため、契約時に経費の概算を算出して契約書に記載しなければならなくなりましたが、事前に経費を正確に算出できるケース自体が例外的なため、契約が複雑になっただけで経費に関するトラブルが減るわけではないとも考えられます。
経費算出の仕組み
上述のように探偵調査における「経費」は、調査を行った際に掛かってしまった費用のことです。主に「交通費」「宿泊費」「施設利用料」などがあります。
しかし、その額を事前に予測はできても正確に把握することは基本的にできません。
全ては対象者の行動によって変動するからです。
例えば、尾行対象者が勤務先からまっすぐ自宅に帰った場合はその通勤経路の交通費が経費の総額となりますが、浮気相手と会って一緒にタクシーで移動したりした場合は異なる交通費がかかることになります。
但し、このうち「宿泊費」「施設利用料」は、対象者の旅行など遠隔地での調査、店内への潜入調査などの特殊なケースにならない限りは発生することはあまりないと言えます。
つまり、経費とは「交通費」が大部分を占めるのだと考えていただいても差し支えありません。
ただ、交通費には車両のガソリン代や高速道路利用料、新幹線代や飛行機代などもあるので、対象者の行動によってはそれなりに高くなってしまうこともあります。
経費の不正請求にご注意
探偵業界では以前から経費の不正請求が問題となっており、探偵業法ができて規制が入った現在でもトラブルの元となっているようです。
不正・悪質な請求のパターンとしては主に以下の二つがあります。
- 経費の水増し
- 経費のぼったくり
調査料金に「経費込み」と謳っている探偵事務所にはご注意下さい。
「かかった経費を無料にする=サービスする」ならわかるのですが、事前にはっきりとしない料金でありながら、わざわざ「経費込み」とアピールします。
それは文字通り、最初から調査料金に経費分として別の料金が含まれているからです。
ではその調査料金が他社と比べて安いのかどうか?
1回の調査でかかる最低料金を比較してみると、数万単位で高いケースがあります。
10,000円×5時間=50,000円+経費1,000円で終了
20,000円×5時間=100,000円
この場合は1,000円以内で終わってしまうことすらある経費を事前に一日数万円取ったりしていることになります。
つまり「経費込み」とのアピールはお客さんを引き込む手段であり実態は「経費ぼったくり」のケースが存在しますので、調査料金そのものの値段を確認する必要があります。
こちらは経費の水増しと違って、事前に避けることができるケースと言えます。
(4)キャンセル料(解約料)
解約はどんな契約でもトラブルになる大きな原因の一つです。
そもそも契約という行為自体が重要な法律行為であるのですが、お客さん側にその認識が欠けている方が多いのもトラブルの原因の一つであり、そこにつけこんで悪質な契約を結ばせようとする業者が存在するのもまた事実です。
本来、重要な法律行為である契約が簡単に反故にされるものであってはならないとは思いますが、近年では悪質な業者が蔓延しすぎたためか、消費者(顧客側)がまず保護されるように法律も変わってきています。
例えば「キャンセル料」という取り決めは契約が簡単に反故にされないための役割を果たすものであると思いますが、不当に高額なキャンセル料を設定する悪質な業者も当然のように現れます。
探偵業界で言えば、国民生活センターへの多数の苦情をもとに消費者団体からキャンセル料の差止訴訟を起こされた某探偵社などがこのケースに該当しました。
※契約金額が大きかった場合などに探偵側の実際の損失額と比較して金額が不当に高くなる可能性があるため
例えば10日間の契約で実際に1日間調査を実施した場合、その調査分の金額が解約料となるのは妥当と言えますが、3日間分の調査金額を解約料として払えというのは不当ということです。
現在では、不当な契約条項によりキャンセル条項が無効になるケース、特定商取引法におけるクーリングオフで無条件に契約解除が可能なケースなどがあり、依頼者側が保護されるケースが増えてきたのではないでしょうか。