探偵業法

2021年8月25日

法律
探偵小説などを読んだことがある方はある種のイメージをもっているかもしれませんが、そもそも探偵とはどのような職業なのか?

探偵に関する法律「探偵業法」では、

他人の依頼を受けて特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務

と定義されています。

この探偵業法が施行されるまではいつでも誰でも探偵業を営む事が出来たわけですが、現在は事務所所在地管轄の警察に届出を済ませなければ探偵業法違反となり、代表者になる人間にも一定の条件が定められています。

 

重要事項説明義務

届出を出している正規の探偵業者は御依頼者様と調査契約を締結するにあたり「重要事項についての書面の交付及び説明」を行わなければなりません。

重要事項は探偵業法第八条(重要事項の説明等)により以下のように定義されています。

  1. 探偵業者の商号・名称又は氏名及び住所、法人の場合その代表者の氏名
  2. 別に広告宣伝に使用する名称がある時はその名称
  3. 個人情報保護法その他の法令を遵守すること
  4. 守秘義務に関する事項
  5. 提供することができる探偵業務の内容
  6. 探偵業務の委託に関する事項
  7. 調査料金・経費等、調査費用の概算額及び支払時期
  8. 契約解除に関する事項
  9. 探偵業務に関して作成し、又は取得した資料の処分に関する事項

また、契約担当者や調査料金等、契約内容を明らかにする書面の交付も義務付けられています。これらの重要事項説明を怠っている探偵業者は避けた方が宜しいでしょう。

重要事項についての書面の交付・説明を行うためには電話やメール等での契約はできませんので、実際に御依頼者様と契約担当者が会ってお話する必要があります。

 

探偵業法について思うこと

上述のように探偵には「探偵業の業務の適正化に関する法律(探偵業法)」という法律があります。

以前は探偵に関する法律はなかったのですが、依頼人等とのトラブルが絶えず、探偵業を規制するために作られた法律と言われています。

第一条(目的)
この法律は、探偵業について必要な規制を定めることにより、その業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的とする。

もともと探偵になるには特別な資格や届出も必要なく、誰でも開業できる職業でした。
しかし、ビジネスマナーを知らない人物や道徳心に欠ける人物、悪質な営業手法を取る人物、そもそも詐欺や恐喝等の犯罪を目的とした人物等が探偵となっていたケースが決して少ないとは言えなかったのです。

ですので、探偵と依頼者間のトラブルを減らすため、悪質業者を排除していく上では必要な法律だと私も思いますが、現状では通常の探偵業者にとってはやや厳しい規制であると感じますし、必ずしも探偵業の実務に詳しい人が作成したわけではないようにも思われます。

例えば調査料金の概算額を前もって依頼者に伝えなければならないとする探偵業法上の決まりがあります。
これは外部から見れば「消費者を保護するため(料金・費用をはっきりさせる)の当然の規制」と考えられるのかもしれません。

例えば、商品を売ったり、エンターテイメントなど「ある一定のサービスを提供する」といった仕事であれば、概算のみならず正確な金額も伝えることが可能かと思います。

一方、探偵の主な仕事は「人の行動を調べる」ことであり、その人の行動によって料金(時間)が左右される部分がありますので、人の行動やその行動の時間を事前に正確に予測して依頼者に伝えることには無理があります。

例えば、事前に浮気調査の依頼者が「絶対に3時間しか調査をしない」というのなら、3時間分の概算額を提示することは容易かと思います。
しかし、もちろん依頼者自身も人の行動の結果を事前に正確に予測できるわけではありませんし、むしろ3時間経過の時点で対象者が浮気相手と合流し行動していたら、依頼者も調査の続行を望むでしょう。

つまり、事前に合意していたことでも依頼者の意向で容易に変わる、もしくはより良いサービスとするためには変えざるを得ないわけです。
そこで頑なに「3時間で概算料金を出しているから3時間しか調査できません」などというのはサービスとしてはかなり不親切で融通が利かない対応となってしまいます。

もちろん対応が不可というわけではありませんが、依頼者との書面による手続きを頻繁に行わなければならず、探偵調査サービスの「肝」と言える部分、円滑なサービスや依頼者側の都合・要望による緊急の対応、というのは行いにくくなっている状況であることには違いありません。

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